昆虫亀

森功次(もりのりひで)の日記&業務報告です。

次回の分析美学勉強会はStacie Friend (2008) "Imagining Fact and Fiction"を読みます

次回はStacie Friend (2008) "Imagining Fact and Fiction" in New Wave in Aestheticsを読みます。

今回の論文は、フィクションについてです。


20世紀末くらいからずっと、分析美学のフィクション論は、ケンダル・ウォルトンごっこ遊び理論 Make-Believe Theoryを軸に進んできました。
ごっこ遊び的な態度は、想像的態度の一種ですから、結局はフィクションというのは「想像力imagination」の点から考察されてきたわけです。
ウォルトンMimesis as Make-Believeはもはや、超基礎文献。最近日本でも多くの人が論文内で言及しておりますし、もはや専門の研究者でない人たちの間でもそこそこ読まれている様子であります。



ただ最近、Stacie Friendが「フィクションを「想像力」とは別な面から考えてみよう」という主張をしていまして、これがちょっと面白そうなので、この勉強会でもいっちょFriend読んでみるかーということになりました。
このFriendさんは、先日、ロンドンでフィクションをテーマにしたシンポジウムがあったときに( http://www.londonaestheticsforum.org/?page_id=1527 )登壇者を務めております。このシンポジウムもすげー面白そうだったんですが、内容の報告はその後webには上がってない様子。


はい。今回読む論文は、この本に入ってます。
New Wave in Aesthetics, 2008, ed. Kathleen Stock and Katherine Thomson-Jones.


この論文集も、テーマは存在論やらメタファー、表現性、人工物など、多岐にわたっているのですが、どれも最近出てきた新しい考え方を提示する論文になっているようで、けっこう面白そうです。
研究者はホントはこういう最先端な動きもちゃんとフォローしていく必要があるのですが、まだ不勉強なわたしは、その最先端な動きの「最先端性」を理解するための基礎知識がまだ足りてないという状況です。
がんばろう*1



ただ勉強会で読む論文は、web上に公開されてましたので、本勉強会ではこっち使いながら進めます。少し長いので、数回に分けて読むことになるかと。
http://www.heythrop.ac.uk/fileadmin/documents/Staff_Publications/Stacie_Friend/Friend_-_Imagining_Fact___Fiction_archive.pdf




最初は5/21日(火)20時、@東大本郷キャンパス、美学芸術学研究室です。

*1:分析美学の最近の状況についてざっと知りたいというひとは、もうすぐ翻訳『分析美学入門』が出るので、それ読みましょう。いまのところ、5/27配本予定です。はい宣伝ですが何か?