昆虫亀

森功次(もりのりひで)の日記&業務報告です。

Communista Social Club

conchucame2009-07-09


ご無沙汰してます。


Philosopie Magazineの最新号(2009年7-8月号)のとある記事が、なかなか面白かったのでちょっと書きます。



面白かったのは「Communista Social Club」(おしゃれなタイトルですね)という題の記事で、5月にロンドンで行われた共産主義再考のシンポジウム‘on the idea of communism’の報告です。
(記事を書いたのはJan Sowaというポーランド人)


ぱっと見、シンポジウム自体はえらい豪華メンバーでして、バディウジジェクランシエール、ナンシー、ネグリ、イーグルトンなどなどが出てます。プログラムはこちら(pdf)→http://www.bbk.ac.uk/bih/news/communismprogramme



大体こういうシンポ報告記事って「良かったですよー」の持ち上げ調で書くもんかなとおもってたら、
結構ぼこぼこにけなしてます。
基本的にはバディウジジェクランシエールの発表について報告するという形ですが、随所に批判がちらちらと見えて面白いです。


批判部分を(かなり暴力的に)まとめますと、
  ・まず、入場料金たけーよ(100£!)
  ・アイドル見に来たグルーピーみたいなやつら多いし。
  ・スピーカーも仲良く話してばかりで論戦せんし。つまんね。
  ・もっと具体的な話しないとさー、意味なくね?ロシアとかチャイナとかどー考えんだよまったく!むきー。
みたいな感じです。
ポーランド人が言うと説得力ありますね。


バディウマルクスから距離を取ってプラトンに向かった」というような報告をしときながら、記事の最後は、「あぁ、やはりマルクスの『哲学者は世界を別な仕方で解釈することしかしなかった。重要なのは世界を変えることなのだ。』という言葉は間違っていない」と言って終わってます。
辛辣ー!



(というか、こっちの報告記事でも、似たような文句言ってますね。こっちはコメント欄でまたちょっともめてて面白いですがhttp://thecommune.wordpress.com/2009/03/15/report-of-conference-on-the-idea-of-communism/






興味がある人、言っていただければコピーしますよ。
報告の内容部分は、それなりに勉強になりますので、読んで損は無いかと。
バディウのfaits-l'Étatsとpossibles-la Révolutionの区別とか、簡潔にまとめられてます。)


ちなみにバディウは現在、プラトン『国家République』の新訳をやってるらしく、2010年に出すらしいです。
タイトルは『Commun(nisme)』ですと!



ちなみに私個人的には、こういう政治哲学的な関心はほとんど(まったくと言っていいほど)ないことをお断りしておきます。
というか関心ないわけではないのですけど、なんか皆さんが言っていることが良く理解できないので、あまり手が出せんし、だから各論者についても評価もできる立場ではない、というのが実際のところです。




おやすみなさい。