昆虫亀

森功次(もりのりひで)の日記&業務報告です。

2015年の仕事まとめと反省、そして今年の目標

あけましておめでとうございます。
年末は子育てに追われてました。子育てナメてましたね。
「年末年始は新生児を抱っこしながらゆっくり本でも読むかー」と思ってた自分をぶん殴りたいです。



2015年の仕事とその反省をまとめておきます。


学術論文

二本書きました。どちらも論文集へのお誘いを受けて寄稿したものです。もっと査読付き論文書かなきゃ、というのが大きな反省点。美学会で発表したものも投稿しそびれてしまった。よくない。


博論

  • 「前期サルトルの芸術哲学――想像力・独自性・道徳」東京大学大学院 人文社会系研究科 美学芸術学専門分野

ようやく出せました。3月提出で9月に審査を経て、10月に正式に博士号授与されました。博士(文学)です。P!H!D!、P!H!D!。そろそろサルトル研究者と名乗ってもいいかもしれない。
なお、博論出版はしないことにしました。別に一般向けに出しても読む人そんなにいないし、一般向けに書き直せるような内容でもないし。そのうち全文が東大のリポジトリにupされる予定です。


翻訳

重要論文を二本翻訳。
ウォルトンの「芸術のカテゴリー」は『基本論文集』に入れてもらえなかったので、これ出せたのはほんとに良かった。noteで出したのだが、まぁそこそこ売れてます。正直金銭的には出版社通すよりずっと良いです(とはいえそれでも大した額ではないですが)。
『基本論文集』も、校正時にはいろいろ嫌になる事件もいくつかあったが、まぁ出てよかったです。
翻訳作業は地道な、時にとても嫌になる仕事ですが、将来の美学界に寄与することは間違いないので、今後もコツコツやりますよ。
あと、2013年に出た『分析美学入門』が増刷になりました。高価な本ですが*1、コツコツ売れてます。嬉しい。


学会発表などなど

  • 2015年1月 科研「表象媒体の哲学的研究――画像の像性と媒体性の分析を中心に」(基盤C、研究代表者:小熊正久) 

     「〈芸術作品とは非現実的存在である〉という主張をどのように解釈すべきか:初期 サルトルにおける芸術作品の存在論的身分と美的経験論」

     岡沢亮修士論文「人々の実践としての芸術/非芸術の区別:法・倫理・批評領域に焦点を当てて」合評会

     『サルトル読本』出版記念シンポジウム
     第一部「サルトルの全体像」司会
     第二部「サルトルの哲学」登壇

     「芸術作品のカテゴリーと作者性――2015年VOCA展の出品拒否事件を題材に」→解説&資料

     ワークショップ「心の哲学と美学の接続点」
     「Acquaintance Principleと美的証言:美学と認識論の結節点」→資料

  • 2015年2月 展覧会「オントロジカル・スニップ」(HIGURE17-15cas)トークイベント

     登壇者は飯盛希、石橋友也、齋藤帆奈、名倉聡美、三木仙太郎

まぁコンスタントにどこかしらで登壇してた気がします。何の研究やってる人なのかよくわからないラインナップになってますが。
ちゃんと自分からエントリーしたのは美学会だけ。もうすこし積極的にやりたい。最近は「これは面白そうなネタになるぜ!」と思わないと自分からエントリーしないという感じになりつつあって、あまりよくない。要は面白そうなネタを見つけるセンスを磨かねば、ということなんだが・・・。



記事寄稿

  • 2015年6月 「ひらくマンガ、めくるマンガ」、『ユリイカ』6月号「特集:桂米朝」、p. 246

最近ユリイカのエッセイコーナーで美学系の人が呼ばれてて、その波に乗った感じ。気軽に書けたのは良かったが、こういうのならブログでもよくね?という気もする。



アウトリーチ活動

  • 2015年9-10月 紀伊國屋書店新宿南店ブックフェア「分析美学は加速する――美と芸術の哲学を駆けめぐるブックマップ最新版」→解説

初夏から秋にかけてはブックフェアプロデューサーとして雑務に追われました。単なる一時期のブックフェアに終わらせるつもりはなかったので、いろんな人に協力を仰ぎつつ、大きめのアウトリーチプロジェクトに仕上げました。幸いなことにまわりの研究者(特に若手研究者の皆様)がかなり献身的に手助けしてくれたので、とても助かりました。感謝感謝。おかげさまでブックフェアでは記録的な売上を叩き出しました。大成功。
たしか去年の目標は「アウトリーチ活動を控えてちゃんと基礎的な研究能力を磨くこと」だったんですが、こんな大規模なアウトリーチ活動やってしまった。初志貫徹まったくできてない。正直こういうアウトリーチ活動は若手がやる仕事じゃない気もするんだが、かといって大御所の先生にはこういう活動に割く時間はないんだよなぁ。
このブックフェアに関してはまた思うところを忘れる前にブログに記事書いておきたいけど、いつになるやら。



2015年の研究活動はこんなところです。
2016年は子育てが入ってくるのと、生活のために別の(かなり異業種の)仕事を始めるので、研究ペースは若干落ちるかもしれませんが、なんとかサバイブします。
今年の目標は「研究者として生き延びること」です。


*1:6000円以下だったのが出版後すぐに消費税アップで6000円超えた