昆虫亀

森功次(もりのりひで)の日記&業務報告です。

第9回KoSAC、gnck「画像の問題系 演算性の美学」合評会で評者を務めてきました。

表題のとおりです。

美術手帖』の第15回芸術評論で第1席を受賞したgnckさんの評論文「画像の問題系 演算性の美学」の合評会で評者を務めてきました。


第9回KoSAC「gnck「画像の問題系 演算性の美学」合評会」
http://d.hatena.ne.jp/oxyfunk/20141220


奇特かつ優秀な方がツダってくださっていて、会の雰囲気は以下のまとめでそれなりに見ることが出来ます。
KoSAC「画像の問題系 演算性の美学」合評会(東京経済大学)のまとめ。


あと発表資料も公開しておきました。
http://researchmap.jp/mulpnxrmr-1833297/#_1833297
目次はこんな感じです。

1. まず読んだときに感じたこと――参考文献について
2. 分析美学とデジタルアート
3. gnck論文の意義
4. 第一の懸念:gnck の議論はデジタル画像の美を語りきれているのか
 4.1 「デジタル」という言葉について
 4.2 デジタル画像の美について
5. 第二の懸念:異なるアートワールドの作品群を一緒に論じてしまってはいな
いか
 5.1 異なるアートワールドの評価軸を持ち込んではいないか
 5.2 中ザワヒデキをどのように考えるか


今回の会は「批評分の分析」というメタ批評としての美学を実践してみる良い機会でした。
分析美学という学問がメタ批評として出発したことを思い起こせば、ちょっと感慨深い作業になったかな、と。
どれだけこの試みが成功したかはわかりませんが、わたし自身はお絵かき掲示板まわりの文化にはあまり詳しくなかったこともあって、とても勉強になりました。
このあたりがとても面白い領域なんだなー、ということがよく分かりましたね。


あと、振り返ってみれば、「批評文の合評会」(とくに論文単位で)というのは今まであまりなされてなかったように思います。
もっとこういうイベントが増えると面白くなると思います。
美学者が貢献できるひとつの場になるかもしれません。(逆に、やっぱり美学は役に立たん、という感じになるかもしれませんが)



では。良いお年を。