先の5月10-11日、関西大学にて応用哲学会が開催されました。
分析美学関連の発表が多く、わたし個人的にはとても楽しめました。
多くの人が発表資料を公開してくれていますので、こちらでも紹介しておきます。
個人発表
高田敦史 「図像的フィクショナルキャラクターの問題」
源河亨 「美的知覚と美的判断」
ワークショップ 音楽作品の存在論にもの申す:知覚の哲学と芸術の哲学からの批判と応答
源河亨 「知覚対象としての音楽作品」
松永伸司 「それは音楽の存在論なのか?」
田邉健太郎 「タイプ説がもの申す」
西條玲奈 「上演の形而上学:唯名論からの応答」
応用哲学会は分析哲学の議論に慣れた人が集まっていて、美学会とはまた違った観点から良い質問が飛んでいました。
むしろ年会費が安かったりする分、美学会よりも発表しやすいかもしれません。論文もすぐにweb公開されるし。
分析美学の研究をしようと思う人は、今後発表場所の選択肢に入れておいて損はないと思います。
あとけっこう気さくな若手が集まっている印象なので、非アカデミシャンの人でも気軽に聴講できる空気があります。その意味でも、遊びに来るのにオススメの学会です。
(ご参考:http://ask.fm/tiseda/answer/111992980542)
とりわけ今回は、大学等に研究者として所属しているわけではない「日曜美学者」の高田さんがとても良質の発表をしていたので、研究者としてはとても考えさせられました。高田さんは普段はサラリーマンとして働いている方なのですが、正直、そこらの大学院生よりもよっぽど良い発表をしていたわけです*1。
われわれ院生や教職員がよく使ってしまう「バイトで時間がない…」「雑務で研究時間が…」といった言い訳はもう通用しないのではないか、と猛省を迫られます。
高田さんのような、普段は別の仕事をして収入を得つつその合間に研究もする(そしてとくにアカデミシャンの道を目指すわけでもない)、というスタイルをとっている人は最近良く見かけるようになった気がします(昔もそういう方はいたと思いますが)。こういうスタイルは、もっと広まってもいいと思いますね。論文のweb公開やSNSでの交流なども盛んになった現在、こういう生き方がやりやすくなっている時代だと思います。
*1:高田さんは今回の発表に向けて読書メモをブログに公開してくれています。美学者のみならず図像関係の研究者も必読。 http://d.hatena.ne.jp/at_akada/ こういうのみんなもっとやろう。