昆虫亀

森功次(もりのりひで)の日記&業務報告です。

京都の時間がゆっくり見えるのは、よそ者だけか。

先輩に京都おごってもらった。
二泊三日京都。


初日。
二泊三日の前半は引越しの手伝いもかねていたので、観光はできないだろうと思っていたんだが、
ところがどっこい京都下町探索の一日であった。


早朝に京都に着いたので、京都駅から二条城近辺まで裏道を歩く。
そこで、ひとつ気づいたんだが、ブロックごとの住所標識(緑のやつ)があまりない。
京都は碁盤目状の街づくりが機能しているからだろうか。
知らない街で迷ったら、いつもあのシステムをたよりに自分の位置を確認してたんだけど、京都はそれが不可能だった。
距離感覚がいまいちつかめていないヨソ者は、裏道を歩くと今どこら辺なのかがわからん。
大通りまで出ればいいんだけど、京都の大通りってはっきりいっておもろないんだよな。
初めて京都に来た時は、大企業看板の色変え(マック→茶色)を楽しんだものだが、もう厭きたし。
やっぱ京都は裏通りですな!
織物、着物。繊維産業は細々ながら、まだ機能しているのですね。
まだJ-phoneの看板出してる店にはびっくり。時間止まりすぎよ。



三条商店街は、地元の唐人町商店街と雰囲気が似ていて、どこか既視感を感じた。
高齢化した客層と、品揃えが特化しすぎの個人商店(ボタン屋って食っていけるのかしら)。ところどころにシャッターが閉まった店。
いま生き残っている商店街は、全国どこもそんなものかもしれない。
外国人バックパッカーがほんのすこし客層に混じっていたのが、京都らしい。


夜はチャリで都会に飲みに行く。地元っ子気取り。



二日目。
先輩嫁、子供×2、双方の母親が合流。
俺さえいなければ出来上がったほほえましい家族なのに、集合写真に俺が入ることで、「これ何の集まり?」ってな不思議な写真になってた。
引越し作業をサボりつつ、子供と遊ぶ。
生後五ヶ月の赤ん坊の爪の小ささにびびる。


夜、京都の博士課程の友達らに飲み会企画してもらた。
若い学生を紹介してもらう。
皆様どうもありがとう。
百万遍あたりは良い店ありますね。
友人のうちに泊めてもらう。




三日目。
だらだら起きて、チャリ2人乗りで京大のカフェにモーニングしにいく。
あぁ時間がゆるやかだぜー。何故にこんな環境で西田はあんな変なことを考えたのかしら、とボーっとしつつ、友達と別れる。
泊めてくれてありがとう。


そこから清水寺三十三間堂国立博物館という王道観光コースをたどる。
ベッタベタやで。
桜の満開に少し間に合わなかったのが残念。
国立博物館の「雛まつりとお人形展」に飾ってあった「軍服のひな人形」がかなり衝撃的だった。
晦庵河道屋でにしんそば食べ、今回の本命であるマンガミュージアムへ。




マンガミュージアムは、なんかもう空間としてすごい。
美術館的なものを想像して行ったら全然違った。
「元小学校だった古い建築を利用しています」ってのは知ってたんだが・・・。


まず、到着して通りの表側から見たら、子供とその母親、カップル男女などがグラウンドで芝生に寝ころがってマンガ読んでる。
子供よりむしろ母親の方が横にマンガ積みあげて真剣に読んでて、集中力のない子供らは子供らでグラウンドを走り回っておる。
外はそんな感じでのほほんとしてるが、屋内はもっとすごい。
読書机はあるんだが机は既に大体埋まっているので、適当にいろんなところに座ってみんなもくもくとマンガ読んでる。
椅子があればまだマシな方で、老若男女みな、もう廊下や階段、どこでも地べたに座る。廊下に寝転がってるガキもいた。カオス。
特別展の端っことかの、おねーちゃん、そこ座っていいのかね?という場所にも人がいて、ほんと奇妙な空間だった。座敷わらしがウヨウヨいる感じ。
はじめ「なんじゃこりゃー!?」っておもったけど、郷に入っては郷に従うわけで、結局俺も階段の踊り場で一条ゆかり柴門ふみの初期作品を読んでた。
博物館ってよりは、アミューズメントパークですね。



おそらく「小学校」の建築物をそのまま利用してるってところが、良くも悪くもポイントなのだ。
建物全体どこでも座り込んでてよさそうな雰囲気が出来上がって、「大人も子供もみんなマンガ大好きー」な空間をつくり上げてるのは良いことで、「作品に興味を持ってもらう」という狙いとしてはかなり成功してる。(李在の絵に「雪舟の先生が描いた絵」ってアホなキャプションつけて空回りしてる九州国博よりはよっぽど良い。 )
が、「みんな幼い気持ちに戻ってマンガ読みましょうねー」みたいな「マンガ=子供のもの」みたいな価値観を押し付けられているようで、ちょっと違和感も感じた。そもそも、「マンガ」と「小学校」は直接的に関係するものではないのだ。そこを直結させたところに、「京都マンガミュージアム」の巧さがあるのだろう。
ま、大学図書館みたいな中でみんな優等生のようにマンガ読むよりは良いのかなぁと思う。実際おもしろかったし。京都住んでたら間違いなく年間パス買う。
一見、ただのデカイ漫喫に過ぎんのではないか?という疑問も湧くが、国際シンポジウムとかもやってるし、今年はマンガサミットもやるらしいし、今後の活動に期待したい。公的なミュージアムとしては今後あの膨大な蔵書をどう資料的にどう活かすのかが課題。



と、だらだらマンガ読んでたら、「そういや最近勉強してないやーん」ってもわもわと危機感湧いてきたので、観光やめてとっとと東京帰りました。
もう一日延ばせば、マンガミュージアムのコスプレイベント見れるんだが、うーん・・・まぁ帰るわな、と。
落ち着いてこれ以上だらだら観光するほど、心の余裕がありませんでした。これから博士課程ですし。
次は10月の学会@同志社で会いましょう。
では、また、京都。