昆虫亀

森功次(もりのりひで)の日記&業務報告です。

Amie L. Thomasson, Fiction and Metaphysics読了

読書会でこれ読み終わった。
やっぱ一冊読み終わると、感慨深いものがあるな。達成感。
読書会において、きっちり読み終えるというのは結構大事なのかもしれない。

Fiction and Metaphysics (Cambridge Studies in Philosophy)
Fiction and Metaphysics (Cambridge Studies in Philosophy)Amie L. Thomasson

Cambridge University Press 2008-06-12
売り上げランキング : 70951


Amazonで詳しく見る
by G-Tools

フィクショナルな対象を抽象的人工物としてとらえ、依存関係によって規定する話。フィクショナルな対象は存在するとみなすべきだ、というのが最終的な筆者の主張である。
内容に関しては突っ込みどころが多々あるが、議論の筋道の立て方など構成はすばらしく美しい本だった。今まで読んできた分析美学の論文とかと比べても別格。大陸系哲学を専門とする身としては、衝撃的と言ってもいいくらいだ。


本の内容よりも、個人的には、この読書会に参加できたこと自体がかなり勉強(というか修行)になった。
メタ形而上学とかマイノング主義とかについての知識向上という面でも確かに勉強にはなったが、それ以前の勉強の基本的な姿勢から教え込まれたというのが自分としてはかなりためになった。今まで自分が大学で勉強してきたことはなんだったんだ?と思ってしまうくらいコテンパンに叩き直されたが、その分、得たものは大きい。レジュメの切り方から、論文を読む姿勢、論述の構成など、様々な点でレベルアップしたと思う。まだまだ足らんけど。(先日の学会発表で多少ながら褒められることができたのも、この勉強会の派生的成果。)
多分、自分の研究者人生の中の、一つの転換期になる。*1




今後しばらくは、次の本が見つかるまで、論文紹介形式で続行。

*1:将来インタビュー受けて、「僕の人生の転換期は〜」みたいに語るときがあったらの話。