昆虫亀

森功次(もりのりひで)の日記&業務報告です。

次回の分析美学研究会はRobson (2013) "Appreciating the Acquaintance Principle: a reply to Konigsberg"

次回は、Jon Robson (2013) "Appreciating the Acquaintance Principle: a reply to Konigsberg" in British Journal of Aestheticsを読みます。

近年ちょっと話題になっているAcquaintance Principleをめぐる論文です。


最近、「美的判断やそれに関する信念を、直接知覚経験なしに、つまり、他人からの情報(Aesthetic Testimony)だけから、適切に形成できるのか?」というのがちょっとしたホットトピックになってまして、その論争に関する最新論文ということでとりあげました。
単純な論争のようで実はこれ、美的経験や美的性質についての従来の見解をがらりと変えることになりそうな、けっこう大きな帰結を生みそうな論争なのですね。
コンセプチュアルアートの美的経験などをどう考えるのか、という点にも繋がるし、現代アートの芸術的価値の判断にも関わってくる、なかなかおもしろいトピックなのです。
最近はこのトピックに関して、けっこうな数の論文が出てます。



著者のJon RobsonはNottingham大のTeaghing Associate。
http://www.nottingham.ac.uk/philosophy/people/jonathan.robson
博論は「時間とモダリティの形而上学的理論がもつ倫理的含意」についてだそうですが、最近は、Aesthetic testimony絡みの論文をいくつか書いてます。
あとAaron Meskinとゲームの虚構世界についての論文も書いてますね。

(MeskinもそういえばAesthetic testimonyについて論文かいてたなー。A. Meskin, ‘Aesthetic Testimony: What Can We Learn from Others about Beauty and Art?’ Philosophy and Phenomenological Research 69 (2004))




ちなみに、コンセプチュアルアートについては、この本がけっこう面白かったです。

けっこう入門的な記述だけど、今回読む論文につながるようなコンセプチュアルアートの美的価値についても議論してて結構面白いです。
オススメ。記述も易しいので、学部の購読系の授業向きなんじゃないか。


より深く勉強したい人には、こういう論文集もあります。

Goldieいい仕事してましたね。亡くなったのはほんと惜しい。
共著者のElisabeth Schellekensが追悼記事書いてて、泣ける。
http://aesthetics-online.org/memorials/index.php?memorials_id=41


では。
勉強会は2013年4月9日(火)20時より、@東大本郷キャンパス美学芸術学研究室です。
新年度なので、新規参加者はいつにも増して大歓迎であります。