昆虫亀

森功次(もりのりひで)の日記&業務報告です。

メルロ=ポンティ哲学研究会に特定質問者として出ます。3/27(土)

メルロ=ポンティ哲学研究会に特定質問者として出ます。

 

第10回メルロ゠ポンティ哲学研究会 特別企画「現象学的美学ワークショップ」

 

(参加登録:https://forms.gle/gSDtrNJDZjDKP1SdA

日時:2021年3月27日(土)11:00-18:00

開催方法:Zoom

- 午前の部 11:00-12:30

ミニ合評会:小熊正久『メルロ゠ポンティの表現論 −言語と絵画について』

特定質問:常深新平、 國領佳樹

著者リプライ:小熊正久

- 午前の部 14:00-18:00

現象学的美学ワークショップ

 

 

峯尾 幸之介(早稲田大学)「初期現象学派の美学について」 

小熊正久(山形大学)「現象と芸術作品―フッサールインガルデン

伊藤哲史(慶應義塾大学)「ピエール・メナールは『ドン・キホーテ』の著者になれるか―文学作品の同一性について―」

特定質問:森功次(大妻女子大学

 

merleaupontystudies.blogspot.com

あけましておめでとうございます。近況報告。

あけましておめでとうございます。

 

報告遅れましたが、書いたものが年末にどどどっと出ました。

 

『美学の事典』12月25日発売

  • 「批評・解釈の役割――作品の意味は作者の意図に還元されるのか」
  • 「子育てと美学」

の2項目を書いてます。

原稿自体はかなり前に提出してたんですが、編集が遅れに遅れてようやく出ました。いま確認したら初稿の提出は2018年の夏でした、、、。 偉い先生がいろいろ絡むと発行が遅れるというよくあるアレです。

「子育ての美学」というテーマは膨らませてもう少し何か書きたい(でもそれより先に、もう少しかっちりした学術書も書かねば)。

 

 

『フィルカル』Vol.5, No.3 12月25日発売

  • 「分析フェミニズムブックガイド」美学パート選書
  • 「哲学のオンライン授業を文書配布形式で行う理由」

ブックガイドでの選書と、あとオンライン授業の報告文を書いてます。

分析フェミニズムの選書では、以下の三つを取り上げました。解説の方では他の論考にもいろいろと触れてます。読みたい人は『フィルカル』買ってください(副編集長なので宣伝するぞ)。

  • Anne Eaton (2008), “Feminist philosophy of art,” Philosophy Compass 3(5): 873–893
  • Hans Maes and Jerrold Levinson (eds.), Art and Pornography: Philosophical Essays (Oxford University Press, 2012)
  • Paul C. Taylor, Black is Beautiful: A Philosophy of Black Aesthetics (Wiley-Blackwell, 2016)

オンライン授業報告のほうでは、フィルカルの編集委員がそれぞれ今年度オンライン授業をどのようにやったかを報告してるんですが、三人ともいろいろ考えて授業映像の配信はやってない、という結果になりました。哲学系教員の試行錯誤が読める、時代記録的な特集になってると思います。

 

 

現代思想』2021年1月号 特集*現代思想の総展望2021――実在・技術・惑星 12月26日発売

 

  • 「美的なものはなぜ美的に良いのか:美的価値をめぐる快楽主義とその敵」

 「現代思想の総展望」というテーマだったので、最近分析美学界で若干ブームになっている快楽主義(hedonism)批判の動向をまとめた文章を書きました。美的価値をめぐる議論に興味がある人は読んでみてください。動向紹介的な文章なのであまり学術的オリジナリティはないですが、この動向を頭に入れておくと近年の議論が読みやすくなると思います。

 このあたりの論文をいろいろ読んでいて見えてきたんですが、どうやらロペスが2018年に主催したBeauty and Why It Mattersというサマーセミナーがかなり有意義なイベントだったっぽいです。参加者もとても豪華。このセミナーの参加者たちが最近の動向を作り出していると言っても過言ではないと思います。

https://aesthetics-online.org/page/2018BeautyPhotos

 なお、この文章の末尾で言及したロペス、ナナイ、リグルの共著本はそのうち翻訳するつもり(出版社はまだ決まってないけど)。 

 

 

その他の近況報告としては、

  • 秋にメガネ変えたんだけど、誰からも気づいてもらえません。
  • 現職であと2年は任期延長してもらえそうです。少しホッとしてます。
  • 昨年終わりに第二子誕生しました。小さく軽いかわいらしい時期はあっという間に終わり、デブ期に入ってます。乳児はオムツ替えのときに足をぐっと持ち上げてやると、半分くらいの確率で屁をこきます。楽しい。
  • 『分析美学入門』と『ワードマップ現代現象学』が増刷になりました。『分析美学入門』が4刷、『ワードマップ現代現象学』が5刷です。
  • ほんとは2月頃に弘前大学で集中講義やる予定だったんですがコロナでだめになり、普通に秋学期にオンラインで遠隔授業やってます。雪国の青森に行きたかったよう。
  • ステホームの時間つぶしに家族みんなで「デザインあ」の「みんなのあ大募集」に応募したら、子供が描いたやつが採用されました。ちょっとくやしい。
  • 寒いので今年から腹巻き導入してみました。悪くないかも。あとレッグウォーマー最高。

 

 

今年もよろしくお願いします。

【追記あり】論文が出ました。「芸術作品のカテゴリーと作者性 :「なぜ会田誠の絵をVOCA展に出してはいけないのか」」

論文が出ました。

 

森功次(2020)「芸術作品のカテゴリーと作者性―「なぜ会田誠の絵をVOCA展に出してはいけないのか」」『人間生活文化研究』No.30

 

2015年の美学会早稲田大学)で発表したやつをブラッシュアップして論文化したものです。

 

2015年のVOCA展で、奥村雄樹さんが会田誠に絵を描いてもらって出品しようとしたところ、実行委員会側から出品を拒否された、という事件がありました。

この論文は、分析美学の議論を用いつつその事件を分析し、そこから芸術哲学に関する考察を行ってみる、というものです。

分析美学の応用チャレンジ論文とも言える。

 

 

 

 

下記から無料ダウンロード可です

http://journal.otsuma.ac.jp/2020no30/2020_457_1.pdf(pdf)

 

 

 2015年にこの事件について知って「お、ここにはなんかすごく面白い美学的パズルがあるぞー!」と気づいて、慌てて美学会に発表申し込みをしたんですが、今となってはよい思い出です。見切り発車で発表申し込みしておくのも悪くはないですね。

いえーい、これでお蔵入りしかけていた論文の救済ができたぞー。

 

 

この論文で言及した作品は奥村さんのHPにそれぞれ紹介があるので、リンクを貼っておきます。論文読む前に見とくといいかもですね。

 

《現代美術の展望はどこにある?》

http://yukiokumura.com/works/voca2015/where.html

《くうそうかいぼうがく》

http://yukiokumura.com/works/af/ws.html

《くうそうかいぼうがく》ワークショップ企画書

http://yukiokumura.com/works/af/ws/AnatomyFictionProposal.pdf

 

 

あと奥村さんが今回の事件の顛末を記した冊子はNADiffで売ってます。

奥村雄樹『なぜ会田誠の絵をVOCA展に出してはいけないのか』(2015)

http://www.nadiff-online.com/?pid=88299444

 

当時のtogetterもあります。

 

なおこの論文では、冒頭で奥村さん@oqoomを「コンセプチュアル・アーティスト」と呼んでしまってるんですが、すでに本人からその言い方には違和感がある、とツッコミが入ってます。

奥村さんは最近noteでコンセプチュアル・アートの基礎文献をいろいろ翻訳してくれてるので、そちらもオススメです。

https://note.com/conpercipient

 

追記:

松永くんが本論を読む上での非常に良い補助線をツイートしてくれてましたので、こっちにも転記しておきます。

 

 この種の読み方に慣れてるかどうかで、この論文への評価は大きく変わると思います。美術史的な読み方で読むと、何が面白いのかわからないかもしれない(じっさい発表後は、全然面白くない、という反応もいくつかもらったし)。