昆虫亀

森功次(もりのりひで)の日記&業務報告です。

2009-02-01から1ヶ月間の記事一覧

飽きの現象学 1.5 時間的観点から――飽きへの落ち込みを捉えることは出来ない

飽きの現象学 1.5 時間的観点から――飽きへの落ち込みを捉えることは出来ない ●我々は飽きを様々な時間軸で考えることが出来る。「あの人の話にはもう飽きた」とは、毎日延々と聞かされて飽きている「状態」を指すときもあれば、長時間聞き続けたことによって…

飽きの現象学 1.4 意志の欠如――意志的に飽きることは出来ない

1.4意志の欠如――意志的に飽きることは出来ない ●飽きるのは意志的な振る舞いではない。我々は飽きようと思って飽きるのではない。 ●意志の欠如に関しては、美的体験にも言える。作品体験の没頭は意志的に行われるものではない。美的体験において、飽きるとは…

飽きの現象学 1.3追記

飽きの現象学 1.3 飽きと対象――飽きは志向的行為の終わり 追記 ●自己についての非措定的意識――自己(についての)意識consciense (de) soi*1――を考慮せねばならない。意識の志向がある外的なものに向かっていても、我々はそれと同時に非措定的なかたちで自己…

お休みの理由

投稿論文の査読結果がげんなりする形で返ってきて、ちょっとやる気を失ってました。 「水に気持ちは伝わらないよ!理由A,理由B・・・」って書いたら、「いや、気持ちを感じるのは水の性質ではあるまいか」って返されたかんじ。 萎える。 追い討ちをかけるよ…

飽きの現象学 1.3 飽きと対象――飽きは志向的行為の終わり

1.3 飽きと対象――飽きは志向的行為の終わり。 ●「〜に飽きる」と「〜は飽きる」。我々は「飽き」について主にこの二つの言葉遣いをする。この「に」「は」の助詞の違いに注目して議論を進めたいが、ここでも参考になるのは西村の『遊びの現象学』である。 彼…

飽きの現象学 1.2 飽きは新奇情報の欠如――ロボット、飽きと価値

●心理学で言われる「馴化」とは、信号に対する慣れを意味する。これはインプットはあるがそれが自分に与える変化・進化・発展はゼロということである。だが、これは情報量がゼロということではない。作品鑑賞に飽きるときも、その作品からの信号がゼロになる…

飽きの現象学 1.1 「飽き」の言語的分析――飽き、慣れ、疲れ

『飽きの現象学』 第一章 飽きとは何か――飽きの分析1.1 「飽き」の言語的分析――飽き、慣れ、疲れ●まずは「飽き」という言葉の使われ方に注目してみよう。言葉の使われ方に注目するのは哲学的にはオーソドックスなやり方だけど、いくつかの基本的特徴を発見さ…

飽きの現象学 序

序 本論の目的は、飽きという側面から芸術体験を考察することにある。 飽きることについては、 心理学(?)においては「馴化」、 脳科学においては、「疲労硬貨」(脳を構成するニューロンが、同じ刺激に対して飽きるという現象)、 経済学においては、「限…

飽きの現象学

以前から(こことかに書いたように)、「美学は飽きという現象についてもうすこしきちんと考えるべきだ」というのが持論でしたが、もう、とりあえず自分で考えたいくつかのことをブログでぶちまけちゃおうかなと最近思いました。 もんもん考えても、特に発表…