慶應でやってる非常勤、昨年までは英語論文を講読する形式でやってたんだけど、今年は契約上最後の年なので、ちょっと趣向を変えて「分析美学概論」という形でやることにした。専任の先生とも少し話した結果、概論的な授業もちょっとあったほうがいいのかな、と思った次第。
内容としてはこれまで各地でやってきた授業のブラッシュアップ版になると思うけど、いちおう専門向けの授業なので、レベルは少し上げるつもり。
慶應のシラバスは学外者には各回の授業計画が見れない形になってるので、こちらにも貼っておく(外部向けメモも兼ねて)。
解説や質問への応答などやってたらいろいろ時間食っちゃうので、シラバスどおりに授業が進むことはおそらくない。いくつかのトピックは削ることになると思います(というか、毎年そうなってる)。
2019春
- イントロダクション/文献の探し方/履修者の関心の調査/美学とは何か、そして分析美学とは何か
- 芸術の定義1:定義とは何をすることなのか/artsとart/伝統的な芸術理論/単純な機能主義
- 芸術の定義2:ワイツの懐疑主義と制度論の発展
- 芸術の定義3:現代における芸術理論の展開/the theory of artからtheories of artsへ
- 芸術批評の哲学1:芸術批評とは何をすることなのか/批評のための基礎作業
- 芸術批評の哲学2:芸術のカテゴリー/medium specificをどう理解するか
- 芸術作品の存在論1:同一性条件と持続条件
- 芸術作品の存在論2:贋作の評価
- 美的なもの(the aesthetic)1:伝統的な美的判断/カント『判断力批判』
- 美的なもの(the aesthetic)2:フランク・シブリーの美学
- 美的なもの(the aesthetic)3:美的証言は判断の根拠となりうるか
- 環境美学1:ロナルド・ヘプバーンとアレンカールソン
- 環境美学2:『プラスチックの木で何が悪いのか』
- 作者の意図と解釈
2019秋
- イントロダクション/文献の探し方/履修者の関心の調査/美学とは何か、そして分析美学とは何か
- フィクション1:フィクション執筆とは何をすることなのか/ウォルトンのメイクビリーブ理論
- フィクション2:フィクションのパラドックスについて
- 画像と描写1:描写芸術の記号システム/画像知覚の理論
- 画像と描写2:うちに見る(seeing in)という考え方
- 芸術的価値1:本質主義と多元主義
- 芸術的価値2:芸術的価値と芸術形式の価値
- 不道徳作品の価値:倫理主義・唯美主義・不道徳主義
- 不道徳作品の価値:表現規制
- ジェンダー美学1:なぜ女性の大芸術家は存在しなかったのか
- ジェンダー美学2:ポルノの悪と表現規制
- 作品の表出性:悲しい音楽の「悲しさ」とは/類似説・ペルソナ説
- 文化的盗用1:文化的盗用の分類
- 文化的盗用2:文化的盗用にはどのような悪さがあるのか
授業の参考資料としてのリーディングリストを作成し、公開しています。
意欲旺盛な学生は、学期が始まる前にこちらを利用して予習してください。
http://d.hatena.ne.jp/conchucame/20181218
※2019年度の授業「分析美学概論」は4/11(木)より開始、
木曜2限(10:45~)@教室番号354 (大学院校舎5F)です。