昆虫亀

森功次(もりのりひで)の日記&業務報告です。

フランス行ってました。謹賀。


みなさま、遅ればせながら明けましておめでとうございます。



新年イベントをことごとく無視して、年末年始はパリに行ってました。bonne année!
研究ね。一応。
国立図書館に通って、昔の新聞記事とかパシャパシャとコピーしてきました。
書籍も、学生街まわって古本など大量購入。
買いすぎて帰りの飛行機で重量オーバー(26kg)してた。(何故か乗せてくれたけど。)

フランスの分析美学書も何冊か買って来ました。
少なくとも日本よりは導入が進んでおる印象。
分析美学の雑誌は探したけど買えず・・・。まぁ日本で注文しよう。



向こうでスリと追いかけっこして、軽く命のやり取りみたいな状況になったりけど、詳しく聞きたい人は個人的に聞いてください。



最終日には、byくんに写真研究者のTさんを紹介してもらいながらベトナム料理食いました。





旅行の感想としては、フランスの教養の高さをまざまざと見せつけられた感じがします。
アート系の雑誌とか何冊もあるし、Philosophie Magagineっつー、オシャレーな哲学雑誌が駅の売店で売ってるってのがすごい。


Philosophie Magagine
http://www.philomag.com/
いい雑誌です。
デザインはかっちょ良いし、オールカラー。
記事のほとんどが執筆者の写真入りってところも良いです。何か意見を言うときって顔って大事よね。
日本の哲学誌ももっとオシャレにすればいいのに。
これと比べると、『ユリイカ』とか『現代思想』とかぜんぜん面白くねーよ。



記事はピンキリだけど、良いものは一般人向けにわかりやすく、かつ的確にまとめてあります。
(最新号のサルトルの芸術論のまとめとか、導入としてはかなり良いよ。)
月ごとにキャッチーなテーマがあって、最新号のテーマは「哲学は魂âmeの薬となるか?」というテーマです。Philothérapie。
Claire Marintという「病の哲学」をやってる哲学者(34歳、なかなかキレイ)が「哲学はいざ病気になったときには、たいして効果をもたないわよー」とか言ってて、R.Shustermanが「哲学は身体の問題をあまり考えてこなかったんだ」とかコメントつけてたりします。はいはい、sôma、sôma。
あとほぼ毎月哲学者にインタビューしてて、質問もなかなか一般的で良いです。
トヨタとかプジョーとかが広告載せてるし、ジャムとかエスプレッソマシンとかの広告も載ってる。どういう層が買ってんだろ。



バックナンバーも何冊か買ってきたけど、この雑誌結構サルトル取り上げてますね、やっぱ人気あるのかしら。
とりあえず定期購読申し込んでみた。




こういう一般向け哲学誌は日本では無理なのか?
高校で哲学を課すという点でフランスの哲学に対する姿勢は日本と大きく違うけれど、識字率は日本のほうが高いはずだし、哲学系の大学院生の数とかは日本のほうがずっと多いはずなのに。(たぶん。)
これが文系的教養に対するスタンスの差なのか・・・
などと考えましたが、
でも、
マンガ雑誌とかフランスにはほとんどないからなぁ、道徳レベルも日本のほうがたぶん高いし、などと考え、
「単に教養の方向性をどこに向けるかの違いかもね」という結論に達しました。
日本には日本の教養の方向性があるし、そのうちのいくつかは世界へ影響を与えるレベルに育ってきているわけで。
むしろ日本が心配すべきは、教養がどこに向かっていようが、それを「伸ばす」という点にあまり関心がなくなってきているという点にあるのではないかと。



Au revoir.
フランス。




では、みなさま。
今年もよろしくお願いします。



年賀状の返事は今から出します。ごめんなさい。